#2-コロナ禍で読んだ1600冊の漫画と私
7ヶ月になるイオちゃんのお世話や、大学の仕事や、夫との良く言うと対話、雑に言うと小競り合い。来月に予定しているトークイベントのやりとり、明日のゴミ出し準備など、マルチタスクの極みを終えて、やっと眠れる。けれど眠れない。誰かに話したいような気がするけれど、学生の頃のようにいきなりTELもできない1986生まれの大人です。
そんな時こそ、「音になるまえの声」を書くべき、こんばんは。
今日はキーボードを打ちにくい。なぜなら右手の人差し指を手術したからだ。ペンダコのようなものが急に化膿して、指がピリピリしてきたので、皮膚科に行ったら、その場で麻酔して、膿を出すことになって手術になった。人差し指は、私にとって非常に重要な体のパーツで、パソコンを使いこなすためのクリック、ペンをコントロールするための支え、あらゆるアウトプットを生み出すための1番重要な箇所だ。ということに、今日手術をしたことで初めて気がついた。もしこのまま指がなくなってしまったら、体の体積としては少ないけれど、自分の人生のほとんどの自由を失うことになる。大事にしていこう人差し指。
人生の自由、ということだけど、私は、人生とは?自由とは何か?を考えることがとても好きだ。人とおしゃべりして考えることが何より1番楽しいのだけど、コロナ禍と妊娠出産育児で、すっかり人と会える機会は減ってしまった。その代わりとして、ここ数年は電子書籍で漫画をたくさん読むようになった。飲み会に行く代わりに...という言い訳で買った電子書籍の漫画は、ここ数年で1600冊を超えている。値段は計算したくない...。
今週は、梅子先生の連載する「スルーロマンス」が最終回を迎えた。読んでいる人いますでしょうか?凄まじい人間関係の観察力と裏の裏の裏のインサイトまで描き切る梅子先生の漫画。去年からオンタイムで課金して読んでいた。翠ちゃんとマリちゃん...。読んでる方、最終回どう思いました?
女性二人のバディものというか、何て言うか。似てるようで、全く違う女性の二人組が織りなす物語がとても好き。そういった物語は、私に自分の立ち位置や本質を問いかけてくるような気がする。私は誰かといるとマリちゃんのようでもあり、違う誰かといると翠ちゃんのようでもある。
高校生の時に、映画「ゴーストワールド」を見た時にも、そんなことを思った。(ゴーストワールドの再上映の際にイラスト)を描かれてた梅子先生なので、スルーロマンスにはゴーストワールドのDNAもリスペクトを込めて素敵に入ってるような気がする。しっかり者の友人といる時には、イーニドのようで、うっかりしている友人といる時には、レベッカの役回りになったりする。安野モヨコ先生の「ハッピーマニア」のフクちゃんとシゲタのコントラストもいいね。20年後のアラフィフ編、読んでる人いますかね?フクちゃんとシゲタ、どうなるのかわくわく。
それにしても、物語の中の女性二人組ってのは、読者の自分の中にある特性をスキャンされて、二つに分割されて、対話させてるのを見守るような。独特の魅力がある。岡崎京子先生の「くちびるから散弾銃」の3人組は三分割、漫画じゃないけど、4人組のSATCは四分割。Lの世界は何人出てて、何分割か忘れたけど、さらに複雑でそれぞれ良い。
ひとつの物語を追っている間に、自分とは?人生とは?自由とは?一人では辿り着けない問いに振り回される。孤独なのに孤独を感じない。分解、分割された自分と出会う時間が好きだ。
物語の作者によって定義された複雑で強いキャラクターと違って、自分のキャラクターは、過ごす相手やコミュニテイによって見え方が変わるように思う。マリちゃん、翠ちゃん、イーニド、レベッカ、フクちゃん、シゲタ、サカエ、なっちゃん、みやちゃん、キャリー、シャーロット、ミランダ、サマンサ、数えきれない今まで出会った物語の中の人物たち。もはや友人。
しかし「私は今一体誰に近いのか?」と考えてられる時期は過ぎ、私は私というキャラクターとして固定され、もう柔軟に変化できなくなってきてる気もする最近。(この話もしたいので、また今度)
そんな感じで、女性二人組の物語が好きなのですが、どうしても描かれる関係性が友情または恋愛関係に収まっていくような気もしてて。悪く無いけど、それを越えるような新しい何かを関係性の多様さは無いものか?と思っていたのですが、あったんですね。読んでる人いるかな?広田奈都美先生「ナースのチカラ」一見、お仕事テーマの素朴な漫画かと思ったら、期待を裏切る裏切る。続編の「ナースのチカラ plus」二巻で、本当びっくり。ここまで新しい二人組の関係を描いた物語はあっただろうか(いやない)反語。7月に三巻発売みたいで楽しみだ。
話は尽きないので、眠るために、昔懐かし、今見ても新鮮。ミシェルゴンドリー監督のCibo MattoのSugar Waterをペタッと貼って、眠りにつこう。素敵な二人組。このPVはゆったりとベッドに入って眠るのでいい感じですね。おやすみなさい。
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そうそう、今は使い勝手がよくわからないので、全公開で進めてますが、少しづつ読者限定の内容を増やしていく予定です。こんな風に、清水が普段忙し過ぎて人に話せてないような「音になるまえの声」に興味があったら、是非読者登録してみてくださいな。デザインや教育、社会とか自分の専門の話もしていきたいけど、特に漫画好きな人は是非是非。1600冊分の話題が溜まってるので、色々とテーマと混ぜながら話していく気がする。
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